更新日:2026年8月15日

本日、終戦記念日を迎え、戦争によって尊い命を失われたすべての方々を偲び、謹んで哀悼の意を表します。
また、ご遺族の皆様におかれましては、戦後長きにわたり、平和の尊さを胸に歩んでこられたことに、深い敬意を表します。
終戦から八十一年目を迎えました。
戦争を直接体験された方々が年々少なくなる中、唯一の戦争被爆国である我が国に生きる私たちは、戦争の悲惨さを決して風化させることなく、核兵器の恐ろしさと平和の尊さを次の世代へ伝えていかなければなりません。
平和を願うだけでなく、対話を重ねることで互いを理解し、平和を築く努力を未来へつないでいくことが、私たちに求められている大切な役割であります。
しかしながら、世界に目を向けますと、今なお武力による争いが続いています。
ロシアによるウクライナへの侵攻は長期化し、多くの国々がさまざまな形で関わる中、その影響は一国にとどまらず、世界の安全保障や経済にも大きな影響を及ぼしています。大国間の対立が深まり、より広範な国際的緊張につながることへの懸念も高まっています。
また、中東においても、アメリカとイランを巡る軍事的緊張が続いています。停戦や対話による解決への努力が求められる一方で、国際的な合意や協定があっても、必ずしも恒久的な平和につながらない厳しい現実があります。
私たちは今、「戦争は過去の出来事である」と言うことのできない時代に生きています。だからこそ、平和とは何か、どのように守り、次の世代へ引き継いでいくのかを、一人ひとりが真剣に考え続けなければなりません。
私自身、大学で政治学を学び、太田一男先生の「権力非武装の政治学」の講義を受けました。
当時の私は、その思想の深さや意味を十分に理解することができず、とても難しい考え方であると感じていました。
しかし、大学を卒業して四十五年が経ち、社会の中でさまざまな経験を重ねた今、改めて太田先生の「権力非武装の政治学」を読み返しました。
太田先生が説かれた「非武装」とは、単に武器や軍事力を持たないという意味ではありません。
人を支配する力を武力に求めるのではなく、人々の信頼、協力、そして対話によって社会を築いていくという考え方であります。
すなわち、武力によって相手を従わせるのではなく、相互理解と民主的な営みを通じて、平和な社会を実現しようとする理念であります。
終戦から八十一年を迎えた今日、世界の現実を目の当たりにすると、その理念の実現がいかに難しいものであるかを痛感します。
しかし、私は、理想を掲げることに意味がないとは思いません。
人類は、平和という理想を求め続けることで、少しずつ歩みを進めてきました。理想を失った時、平和への努力もまた失われてしまいます。
戦争は、一度始まれば、誰もが望まない形で拡大し、多くの国や人々を巻き込んでいきます。だからこそ、武力だけに頼るのではなく、対話と信頼によって問題を解決する努力を続けることが、戦争で犠牲となられた方々の思いに応える道であると信じています。
平和は、決して当たり前に存在するものではありません。互いを尊重し、支え合い、安心して暮らせる社会を築く日々の積み重ねによって守られるものです。
平和なまちづくりは、平和な世界への第一歩であります。
瑞穂市においても、市民一人ひとりが互いを認め合い、子どもたちが夢と希望を持って成長でき、誰もが安心して暮らせる、思いやりに満ちた地域社会を築くことで、平和への願いを未来へつないでまいります。
終戦記念日にあたり、戦争で犠牲となられた方々の御霊に改めて哀悼の誠を捧げるとともに、平和の尊さを次の世代へ継承し、平和な未来を築いていくことを固く誓い、式辞といたします。

 

令和八年八月十五日
瑞穂市長 森 和之