○瑞穂市防災減災条例

令和8年3月16日

条例第2号

私たちが暮らす瑞穂市は、揖斐川と長良川に挟まれた濃尾平野の北西に位置し、豊かな水と緑に恵まれた自然環境のもとに発展してきました。市内には、中山道の旧宿場町として栄えた歴史と、交通利便性の高いコンパクトな都市構造のもと、人と人とのつながりを大切にする文化が、今も私たちの暮らしの中で息づいています。

一方で、本市は、濃尾平野特有の地形的特性を有しており、特に水害のリスクが高い地域でこれまでにも幾度となく大きな水害を経験してきました。こうした災害から市民の生命と財産を守り、そして将来にわたり安全・安心に暮らせる地域社会を築くことは、すべての市民に共通する願いです。

近年、災害は頻発化・激甚化しており、公助だけでは限界がある中、自助及び共助の重要性がこれまで以上に高まっています。防災は行政だけでなく、市民、事業者、地域団体、教育機関、福祉関係者、消防団、防災士その他の多様な主体が連携・協力しながら取り組むべき社会全体の課題です。

この条例は、自助・共助・公助の理念を基本に、市民一人ひとりが災害を「自分ごと」として捉え、地域の歴史や風土を尊重しながら、これまでの経験と教訓を活かし、防災・減災を日常生活の中に根付かせていく文化の定着を図るものです。そして、災害に強く、安心して暮らせるまちを次の世代に引き継ぐため、市民一人ひとりが「自ら考え、行動する防災の担い手」となり、災害に強いまち・瑞穂市をともに築いていくために、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、地域の防災及び減災に関する基本的な方針を定めることにより、市民、事業者、地域コミュニティ及び行政が一体となって、災害に強いまちづくりを推進することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 防災 災害の発生を未然に防止し、又は災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、及び災害の復旧を図ることをいう。

(2) 減災 災害が発生した場合における被害を最小限に抑えるための対策をいう。

(3) 自助 市民一人ひとりが、自らの生命及び財産を守るために行う備え及び行動をいう。

(4) 共助 市民、事業者及び地域コミュニティが、互いに協力し助け合うことをいう。

(5) 公助 市及び関係機関が行う救助、支援その他の災害対応に係る取組をいう。

(6) 地域コミュニティ 自治会、校区活動組織、PTA、地域の福祉団体、ボランティア団体、企業連携組織その他地域に根ざした団体又は組織をいう。

(7) 防災資機材 災害の予防、応急対応、復旧及び復興の各段階において必要とされる資材及び機器をいう。

(基本理念)

第3条 市民、事業者、地域コミュニティ及び市は、災害に強い地域社会の構築に向け、次の各号に掲げる基本理念に基づき行動するものとする。

(1) 自助の精神(市民が、自らの生命を守るため、日頃から災害に備えた知識の習得や備蓄等の準備を行い、災害時には適切な判断と行動に努めることをいう。)

(2) 共助の絆(市民及び関係者が、災害時には地域の一員として互いに支え合い、地域の安全と安心の確保に努めることをいう。)

(3) 公助への理解と協力(市民及び事業者が、市が行う防災対策や避難情報等に理解を示し、円滑な災害対応に協力することをいう。)

(4) 次世代への継承(市民、事業者、地域コミュニティ及び市が、防災に関する知識、教訓及び経験を次世代に継承し、地域全体の防災力向上に努めることをいう。)

(5) 事業者の防災活動における社会的責任(事業者が、事業継続計画の策定に努めるとともに、地域社会における防災活動に主体的に参画し、協力することをいう。)

(市の責務)

第4条 市は、前条の理念に基づき、防災及び減災に関する施策を計画的に推進し、市民の生命及び財産を保護するために必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、地域コミュニティと連携し、地域の防災力の向上に資するため、必要な支援を行うものとする。

3 市は、出前講座その他の機会を活用し、地域社会に対して必要な防災教育及び訓練の実施に努めるものとする。

4 市は、水害、地震等の災害リスクを踏まえ、ハザードマップの整備、社会基盤の強化及び必要となる備蓄品の確保に努めるものとする。

5 市は、市民及び事業者に対して災害リスクに関する情報を分かりやすく提供し、適切な避難行動を促すための啓発活動を行うものとする。

6 市は、地域の特性を踏まえた避難所の確保並びに避難計画の策定及び必要に応じた見直しを行うものとする。

7 市は、災害時において迅速かつ的確な情報を発信し、市民の避難行動を的確に支援するものとする。

8 市は、災害時において、市民の生命及び財産を守ることを最優先とし、危険と判断した場合には避難指示等を発出し、迅速かつ円滑な避難が可能となる環境の整備に努めるものとする。

9 市は、事業者と防災に関する協定を締結し、災害時の物資供給及び避難所運営への協力を促進し、災害時における相互支援体制の構築に努めるものとする。

(市民の責務)

第5条 市民は、地域の地理的特性及び災害リスクを理解し、自助の精神に基づき、自らの生命及び財産を守るために必要な備えを行うよう次に掲げる事項に努めるものとする。

(1) 災害時において、自分の命は自分で守るという意識を持ち、早めの避難に努めること。

(2) 自らの居住地及び勤務先周辺のハザードマップを確認し、災害リスクを把握すること。

(3) 非常用持出品及び備蓄品の準備、家具の転倒防止、避難経路及び避難所の確認等防災対策を平常時から講じること。

(4) 防災訓練、講習会等に積極的に参加し、災害時に必要な知識及び技能を習得すること。

(5) 高齢者、障害者、乳幼児その他特に配慮を要する者への配慮を心がけ、共助の精神に基づいて災害時に行動すること。

(6) 自治会、自主防災組織(災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第2条の2第2号に規定する自主防災組織をいう。以下同じ。)その他の地域活動に参加し、地域の防災力の向上に寄与すること。

(7) 災害時には、隣近所と協力し、共助の精神に基づき、被害の軽減に努めること。

(8) 災害時には、正確な情報の収集に努め、市又は公的な関係機関が発信する情報を確認すること。

(9) 所有又は使用する建築物その他の工作物について、耐震診断を受ける等耐震性の確認を行い、必要に応じて補修、補強、液状化対策等の措置に努めること。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、従業員及び利用者の安全を確保するために必要な防災対策を講ずるとともに、地域コミュニティと連携し、共助の推進に協力するよう努めるものとする。

2 事業者は、従業員の安全確保のため、防災に関するマニュアル及び避難計画を策定し、定期的に訓練を実施するものとする。

3 事業者は、可能な範囲において、事業所の一時的開放、物資の提供、従業員によるボランティア活動、その他災害時における地域支援に協力するよう努めるものとする。

4 事業者は、地域防災訓練に積極的に参加し協力するとともに、平常時から災害時を想定した協力体制の確立及び災害時の役割の明確化に努めるものとする。

(地域コミュニティの役割)

第7条 地域コミュニティは、共助の中核的な担い手として、市民相互の支え合いを促進し、地域における防災活動を推進するものとする。

2 地域コミュニティは、次に掲げる事項に取り組むよう努めるものとする。

(1) 地域における防災訓練及び防災教育の実施

(2) 高齢者、障害者、乳幼児その他特に配慮を要する者に対する支援体制の整備

(3) 防災資機材の備蓄及び管理

(4) 災害時における初期対応及び市民の安否確認

3 市は、地域コミュニティによる防災活動を支援するため、市民相互の交流を促進し、災害時に助け合える関係を構築する取組をはじめ、必要な支援及び助言を行うものとする。

(消防団の役割及び加入促進)

第8条 消防団は、地域防災の中核を担う組織として、災害時における初動対応、避難誘導、被災者支援、水防活動その他の防災活動を行い、市民の生命及び財産を守る重要な役割を果たすものとする。

2 市は、消防団の活動環境の整備に努めるとともに、その任務の重要性について広く市民に周知し、加入の促進を図るものとする。

3 市は、学生、若年層、女性、その他多様な人材の消防団への参加を促進するため、必要な施策を講ずるものとする。

4 自治会及び市民は、地域社会の構成員として消防団の活動に理解を示し、可能な範囲で加入又は協力を行うよう努めるものとする。

(防災士の役割及び支援)

第9条 防災士は、防災に関する専門的知識及び技能を有し、平常時における防災意識の啓発並びに災害時における的確な判断及び支援活動を通じて、地域の防災力の向上に努めるものとする。

2 市は、防災士の地域における役割を明確にし、防災訓練、防災教育、災害時の避難誘導、要配慮者支援等において、防災士の知見を積極的に活用するよう努めるものとする。

3 市は、防災士の養成を推進するため、資格取得に対する助成、講習の機会の提供その他必要な支援制度の整備に努めるものとする。

4 市は、地域コミュニティ及び自主防災組織の活動に防災士の参加を促進し、平常時及び災害時を通じて、その知識と経験を活かすことができる体制の整備に努めるものとする。

(防災教育及び訓練)

第10条 市は、市民、事業者及び地域コミュニティを対象に、多様な災害を想定した防災訓練を定期的に実施し、防災意識の向上を図るものとする。

2 市は、市民を対象とした防災講座及びワークショップを開催し、実践的な知識の提供に努めるものとする。

3 市は、地域コミュニティと連携し、災害時に必要な知識及び技能を習得するための機会を提供するよう努めるものとする。

4 市は、学校教育において防災に関する学習を推進し、児童及び生徒の防災に対する意識を育成するよう努めるものとする。

(避難所運営協議会の設置)

第11条 市は、災害時における避難所の適切な開設及び円滑な運営を図るため、地域の実情に応じて避難所ごとに設置する避難所運営協議会の設立及び活動の推進に努めるものとする。

2 市は、避難所運営協議会の設置及び運営にあたり、高齢者、障害者その他の特に配慮を要する者及びその家族が積極的に参画し、多様な視点を取り入れた避難所運営の推進に努めるものとする。

3 市は、各避難所における防災訓練の企画及び実施に際し、避難所運営協議会と連携して、実践的な避難所運営訓練が行えるよう協力及び助言を行うものとする。

4 避難所運営協議会は、市民、自治会、自主防災組織、学校関係者、事業所、防災士会、関係団体及び行政職員等が参画し、平常時から避難所運営に関する協議、訓練及び情報共有を行うものとする。

(自主防災組織の支援)

第12条 市は、共助の推進を図るため、地域コミュニティにおける自主防災組織の設立及び活動を積極的に支援し、必要な助言、訓練及び資機材の提供等を行うものとする。

2 市は、自主防災組織の育成及び支援に努めるとともに、必要な資材の提供及び助成制度の整備を行うものとする。

(災害時の情報提供)

第13条 市は、災害時において、テレビ、ラジオ、SNS、防災行政無線、ホームページ、市民メールその他の通信手段を活用し、迅速かつ正確な情報提供を行い、避難情報及び被害状況を周知するものとする。

2 地域コミュニティは、市民への情報伝達を補完し、災害時における迅速な避難行動の支援に努めるものとする。

(災害復旧及び復興支援)

第14条 市は、被災者に対する生活支援及び社会基盤の復旧を迅速に行うものとする。

2 市民及び事業者は、被災地の復興活動に積極的に協力するよう努めるものとする。

(委任)

第15条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

瑞穂市防災減災条例

令和8年3月16日 条例第2号

(令和8年3月16日施行)