内藤十左衛門顕彰碑の前でたたずむかきりんの写真
日本かきりんの旅(2) 治水神社(内藤十左衛門顕彰碑)
 かきりんは背中で何を語るのか…。
 瑞穂市出身の直木賞作家・豊田穣の作品「恩讐の川面」の主人公・内藤十左衛門については、以前の連載で取り上げたことがあります(http://www.city.mizuho.lg.jp/dd.aspx?itemid=10418)。宝暦治水では関わった多くの薩摩藩士が自刃しましたが、幕府側の人間にもかかわらず切腹した2名の内1人が、内藤十左衛門です。「恩讐の川面」では、その経緯・心情が豊田らしい淡々とした筆致で描かれています。そこに現れた小さな世界での醜い争いと心ある人の矜恃は、もしかすると著者の捕虜経験に関係するのかもしれません。豊田穣についても、瑞穂市を代表する文学者として、もう少し詳しく掘り下げて本連載で取り上げたいと思います。
 閑話休題。いわゆる薩摩義士を祀る治水神社に、内藤十左衛門顕彰碑があります。場所は海津市の国営木曽三川公園センター内。背景には紅葉と「水と緑の館・展望タワー」が写り込みました。拝殿から見ると裏手に当たり、ひっそりとたたずむ顕彰碑ですが、その大きさは建立に関わった旧・巣南町の方々の志を示しているように感じられます。
 残念ながら近年、むしろ工事以降は(現・瑞穂市地域を含む)上流部での洪水が増加し、輪中の積み増し競争が激化したとされている宝暦治水ですが、そこに関わり命を落とした方々への慰霊と感謝に変わりがあってはならないでしょう。たまたま平成30年4月25日に治水神社を訪れたことがあり、春の慰霊祭が執り行われていたのですが、鹿児島県からの参加者も多数お見えになっていました(例大祭は毎年4月25日と10月25日)。悲惨な歴史をきっかけに生まれた両県の絆を大切にしていきたいものです。もしかすると瑞穂市も、鹿児島県内自治体と姉妹都市となっても良いのかもしれません。そうこの際、畦地姓発祥の地「南大隅町」などはいかがでしょうか?
 内藤十左衛門が、どのような働きをし、そして死んでいったのか。「巣南町史」で追うのも良いのですが、できればぜひ「恩讐の川面」をお読みください。瑞穂市図書館では、2階の郷土資料コーナー「豊田穣コーナー」にまとめられおり、貸し出しも可能です。瑞穂市民にとっては馴染み深い地名や人名(初頭でいきなり川崎平右衛門が…史実では、このとき着任していないらしい)が目白押しで、そういった意味でも楽しめる作品になっていると思います。
(朝日大学大学院経営学研究科教授・畦地真太郎)
撮影場所:木曽三川公園センター